豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
冷蔵庫から冷えたキットカットを取り出し、お風呂上がりのバスタオルを身体に巻き付けたまま、ベッドの上に胡座をかいた。
テレビをつけると、今日のプレミア試写会の映像が流れる。光恵はキットカットの封を開け、一口かじった。
セットされた髪。
質のいいブラックスーツ。
たかれるフラッシュに目を細めながらも、笑みを絶やさない。
美しい女優と腕を組んで立っている。
光恵は、再びキットカットをかじる。
彼は表舞台に帰って行った。
このチョコレートを返すことは、もうないだろう。
「仕事しろよ」
光恵は空き袋をゴミ箱に放り投げると、テレビを消す。
こうして、二人の同居生活は、終わりを告げた。