豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
と思ったら、違うのか?
完全に気を緩めて、キットカットをもぐもぐとしながら、バスタオルを外して下着をつけていると、突然玄関から「ピンポーン」と音がした。
「え!? まさか……」
ひどい格好の光恵は、慌ててタオルを拾い上げ、身体にまきつけた。
「ちょ、待って……」
光恵は玄関に向かって声を上げた。
キットカット食べちゃった。
どうしよ。
ま、しょうがない。新しいの買ってあげよう。
光恵はジャージに着替えながら、ふくれる孝志を思い浮かべた。自然と笑みがこぼれる。
「はあーいい」
光恵は濡れた頭をバスタオルでごしごしと拭きながら、玄関の扉を勢い良く開けた。
「皆川光恵さんですね」
そこに孝志は立っていなかった。五十を過ぎたくらいの中年女性。丸い顔に、ゆるやかなパーマ。人の良さそうな顔をしている。
「……はい」
「わたくし、ダイヤモンドプロモーションの志賀ともうします」
「……はあ」
「佐田孝志のマネージャーをさせていただいております。あの……少しお話があるんですが、あがらせていただいてもいいでしょうか」
志賀はにこやかに、そう訊ねた。