豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「……はい、どうぞ」
光恵は突然の訪問に少々面食らいながら、志賀を素直に招きいれた。
志賀は部屋にはいると、ぐるりと見回した。
濃紺のスーツの胸には、真珠で花をかたどったブローチ。上品で人当たりがいいが、抜け目のない印象もある。
「あの、こちらへどうぞ」
光恵はダイニングテーブルに座るよう勧める。
「ありがとうございます」
志賀は笑顔で礼を言って、静かに腰をかけた。
「何かお飲みになりますか。コーヒーか、紅茶か……」
「いえ、お気遣いなく。すぐにおいとましますから」
志賀にそう言われ、光恵は向いの椅子に座る。無性に気まずく、うつむいた。
「佐田がお世話になりました」
志賀は話し始めた。
「いえ、そんな……」
光恵は小さく首を振る。
「失礼ですが、佐田とは男女の関係でいらっしゃいますか?」
「!!? い、いえっ。ぜんぜん、そんなんじゃないです」
光恵はあわてて、大きく首を振った。
「ただの、同期です。友人。彼の体調管理を手伝っただけで」
「そうですか」
志賀は笑顔で頷いた。