てのひらの温度

改札を出る。外は予想していたよりも田舎ではなかった。どうやら田畑地帯は抜けたようで、市街地と思われる様子だ。
それなりに店があり、それなりに人や車があり、それなりに賑わっている。まあ言ってしまえば、どこにでもありそうなごく普通の駅だ。


「俺、腹減ったんだけど」

「だから」

「どっか入ろう」

「仕方ないな」


すたすた歩く少年に続いて、駅前のファーストフード店に行った。大荷物をぶら下げた制服の男と機嫌の悪そうな成人女の組み合わせは、他人の目にはどう映るのだろう。姉弟にでも見えるのかも。その方が都合がいいけれど。


ついてくるのは構わないけれど、この少年は一体どうしようというのだろう。どこまでくっついてくるつもりだろう。明日だって平日だ、当然学校もあるだろうに。

目の前では少年が大口を開けて、分厚いハンバーガーにかじりついている。口いっばいに頬張り、充分な咀嚼もせずに飲み込んでいる。あまりの食べっぷりに、ほとほと感心してしまう。
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