てのひらの温度
「どうする気なの」
「なにが?」
「これから」
私はミルクティーを飲みながら問いかけた。私が二、三口飲んでいる間に、少年のハンバーガーはみるみるうちに胃に消えていった。次は大量のポテトに手を伸ばしている。
「え、だからついていくけど。さっき了解してくれたじゃん」
少々不満そうに彼は言った。拗ねた犬みたい。
「それはいいけど、ほら、どうせお金もないでしょ」
「それがあるんだな」
途端に、にいっと口角を上げたかと思うと、床に放ってあったスポーツバックを漁り始めた。タオルやプリント類がごちゃごちゃ見え隠れする。
「ほら」
テーブルに置かれた茶封筒。僅かに厚みがある。まさかとは思うけれど、たぶん現金だろう。
少年に目を合わせると、見ていいよ、という合図をしてくれたから、遠慮なく覗いてみる。