てのひらの温度

「…その前に、その恰好どうにかしてくれる。制服でいられたんじゃこっちも一緒に居にくいんだけど」

「あー、そっか。どこかで服買わないと」

「私ここにいるから買ってきなよ」

「一緒に行こうよ」

「やだよ、面倒臭い」


即答で断ると、紺は唇を尖らせながら茶封筒を財布に挟んで、渋々外へ出て行った。

ちゃんと待っててよ。出ていく間際、振り返った紺が放った一言がなんとも可愛くて、頬が緩んでしまった。

私は割と思ったことをすぐに言える方だと思うけれど、それは客観的な部分に限られている。主観的な気持ち、つまり素直になることが下手だし苦手だ。両者の違いはないようで大きい。

残されたポテトをつまみながら、ぼんやりと物思いに耽っていた。塩のきいたポテトがやけに美味しくて、学生時代の気分が蘇る。たった二年かそこらだ。なんて長い二年を過ごしたのだろう。
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