てのひらの温度
とっとと受付を済ませ、キーを持って部屋に向かう。
建物の外装の割に部屋は小綺麗だった。真ん中にどでかいベットが在り、隅っこに小さな冷蔵庫やらテレビやらハンガーやらがまとめて置いてある。奥がシャワールームらしい。
「うわ…俺こんなとこ初めて来た」
「は?ホストやってた奴が何言ってんの」
「俺ただのヘルプだったし、客と寝たりとか神に誓ってしてないから!」
「どうだか」
「一緒に旅するんだからさ、もっと俺を信用しようよ」
「無理」
甘えた目をする紺には一瞥もくれず、荷物をテレビ台の前に放り投げる。そのままベットにダイブした。
長い一日だった。いろんなことがあった。身体が重い。歳とったな。
「風呂入ってきていい?」
「どうぞ」
洗剤の匂いが漂うシーツ。薄暗い証明。程よい室温。快適な環境に疲労が加わり、適当に返事をした後、私は緩やかに眠りに落ちていった。