てのひらの温度
私と同じで、紺も行き場のない感情を抱えているのかもしれない。こんなのただのあてずっぽうだけれど、人間は外側より内側が大きい生き物なんだから、有り得なくはないだろう。最も、単に若気の至りだと片付けられそうでもある訳だけど。
私は何がしたいのか。
私はどこに向かうのか。
私は何?なんなの?
自分で自分が掴めない。わからない。どうしようか。今はただ、流されてみようか。
身体の力を抜いて、筋肉を解放してベッドに大の字になった。天井は低く、まだらにシミがある。ぼうっとシミを眺めていると、動物や人の顔に見えてきて気持ち悪い。
風呂でも入るか。ベットに張り付く身体を剥がして、鞄から着替えを引っ張ってシャワーを浴びた。全く気を遣わずにどたどた音を立てているにもかかわらず、紺は変な体勢を崩すことなく眠り続けていた。