てのひらの温度

「血縁なんてたいしたことないよ。細胞は毎分毎秒生まれ変わるんだから、キミの身体に流れる血はキミ自身がつくったものだ」

「うん、ありがとう」


励ますつもりなどなかったのに。だけど、その「ありがとう」は素直にうれしい。変な感覚。

やっぱり紺にも言葉にならない憤りや不満を感じているのかもしれない。家に帰りたくないというのにも、言葉にならない訳があるんだろう。


人がどんなに小さなマイナスの感情もなしに生きられるのは、一生のうちにどれだけあるのだろう。
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