てのひらの温度

どこか違和感が残る。ギャップだと片付けてしまえばそれまでかもしれないけれど、なぜだろう。

紺が人の様子を細かくチェックしていること、そしてそれを暗記していること。絶妙なタイミングで気配を消すこと。

いきなりタメ口で、どうやらチャラいらしくて、学校サボって、部活やってて、思ったことが表情にまんま出ちゃって、いきなり見知らぬ私についてくるようなよく言えば無邪気で純粋で、悪く言えば世間知らずで浅はか。

その両者が、うまく結び付かない。何か、あるんじゃないか。


「紺さ」


鮭をつつきながら話しかける。紺はポテチをつまみながら、携帯片手にカチカチやっている。


「ん?」

「なにか、あるんじゃないの」

「なにかって?」

「変に気遣ったり家に帰りたくなかったりする、なにか」


やっぱり私はこの旅で少しオカシクなってしまったらしい。どうでもいいと思っているはずなのに、なんでだろう、気になる。

家に帰りたくない理由はあるのだから家出したのだろう、くらいの予想は当初からついている。話したかったら話すだろうし、わざわざ聞くまでもないと思っていた。

なぜ、私は訊いているのだろう。深く関わりたくなどなかったはずの紺を、知りたいと思い始めている。
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