嫉妬はしないけど好き
ーーー
「ん…」
ふと目が覚めた。
空を見るとオレンジ色に染まっている。
夕方か…
どんだけ寝てるんだ、わたし。
携帯で時間を見ると
17:00。
帰るか。
体を起こし、周りを見る。
…
ん?
「あの〜
天夜くん?」
五メートルほど離れたところで
天夜くんが寝ていた。
声をかけたがピクリともしない。
いつからいたんだろ。
天夜くんもサボり?
ていうか…
寝てても綺麗な顔だな〜。
モデルとかしてるのかな?
なにこのまつ毛の長さ…
やっぱイケメンはイケメンだな。
「なに見てんの?」
パッと目が開かれる。
「ふわぁっっ」
びっくりした!
びっくりした!
びっくりした!
「急に起きないでよ!
びっくりするじゃん!」
「あんたに顔を見られてることの方が
びっくりするんだけど」
ご、ごもっともです…。
「天夜くんいつから居たの?」
「なんか、男が
赤い顔して屋上出て行った時から」
えっ、そこから!?
てゆうか、あれだけ女の子に絡まれてたのに
すぐ屋上来れたの?!
瞬間移動?
って、んなわけあるか!
「へえ〜。
ま、私は帰るね。
天夜くんも早く帰りなよ〜」
そう言って立ち上がる。
別に好きでもない天夜くんと
屋上に2人っきりになっても
別に嬉しいシチュエーションではない。
それより早く帰ってお風呂入って寝る!
「ちょ、待てよ」
?
木村拓也?
じゃなく、天夜くん。
「?なに?」
止められた理由が分からず
振り返る。
「相田だよな。
お前、俺と一緒にいて
嬉しい、とかないの?」
嬉しい?
なに、天夜くんってナルシスト?
自分といて皆は嬉しいと思ってるんだ
だから一緒にいてあげるんだ
的な、ナルシスト?
わー、やだやだ
天夜くんへの興味が薄れて来た…。
っていうか、名前覚えてくれてるんだ。
「なんで嬉しいって思うのか
わからない。
ていうか、早く帰りたい」
うん、帰りたい。寝たい。
ずっと寝てたのにまだ眠たい。
永眠しよかな。
「ふーん、あんたおもしろいね
いいよ、帰って。
明日からよろしく」
お?これは友達になった瞬間か?
ちょ、ちょっと嬉しいぞ
それになにこのスマイル!
やっぱイケメンだ!
「よろしく!
じゃあね!」
私も気持ち悪い満面の笑みで返した。