消える前に……
「そんなに急ぐなよ~!」
そう言いながら俺は、
綾についていく。
電車に揺られて
あまり長い時間もたたないうちに、
俺の家についた。
「散らかってるけど…」
俺はそう言いながら、
家の扉を開いた。
「おじゃまします!」
綾はやっぱり子供の様に
はしゃいで俺の家に入ってきた。
リビングの前を通り、
階段に向かうとき、
リビングにいた翼と目があった。
翼は、
意味深げに俺に不適な笑みを向けてきた。
俺は翼を無視して、
階段を上がって行った。
階段を上がってすぐの
俺の部屋の扉を開けて、
部屋に綾を招き入れた。
「ごめん!散らかってて…。」
「私、弟以外の男の子の部屋に入るのって初めてなんだ~!
弟の部屋と全然違う!」
「そう?俺の部屋散らかってるでしょ?」
そう言うと、
綾は小さく笑ってから俺に言ってきた。