消える前に……
◇大切なモノ


俺は、

青西公園の噴水の所に座った。


携帯で時間を確認すると、

今の時間は7時半。


少し早くに来すぎたな。


そう思いながら、

俺は空を見上げながら

綾に話す事を少しづつ整理していった。


ちゃんと、

全部を話すんだ。


そう心に誓って。


しばらく、

話す事を考えていると、

公園の入口の方から

綾が走ってくるのが見えた。


綾は俺の所まで走ってくると、

俺に抱きついた。


「今日学校来なかったから心配したよ?
風邪でも引いちゃったかな?」


綾は俺に抱きつきながら

そう言ってきた。



「………。」


俺は何も言わずに、

ただ綾を抱きしめた。


これが……


これが最後になるかもしれない……。


そう思うと、

綾を強く抱きしめずには

いられなかった。




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