消える前に……
「進路希望か……」
そんなこと急に言われてもなぁ……。
将来のこととか考えても
何か夢の話みたいで現実味がないし。
10年後の自分なんて
想像することもできない。
「進路希望がどうかしたの?」
弟の翼が俺に話しかけてきた。
「ん?何でもない……。
3年になると進路とか
考えないといけないの。」
俺は適当に翼に説明した。
翼は俺と同じ青西高校の制服を着て、
リビングでテレビを見ていた。
「ふ~ん。
そんなことか……。
俺ならもう決めてるし!」
翼のその言葉を聞いて
俺は自分がさらに情けなく感じた。
高1のあいつでも
もう進路決めてるのにな……。