消える前に……


「進路希望か……」


そんなこと急に言われてもなぁ……。


将来のこととか考えても

何か夢の話みたいで現実味がないし。


10年後の自分なんて

想像することもできない。


「進路希望がどうかしたの?」


弟の翼が俺に話しかけてきた。


「ん?何でもない……。
3年になると進路とか
考えないといけないの。」


俺は適当に翼に説明した。


翼は俺と同じ青西高校の制服を着て、

リビングでテレビを見ていた。


「ふ~ん。
そんなことか……。
俺ならもう決めてるし!」


翼のその言葉を聞いて

俺は自分がさらに情けなく感じた。


高1のあいつでも

もう進路決めてるのにな……。


< 144 / 503 >

この作品をシェア

pagetop