消える前に……
一年で人は
こんなにも変わることができるんだな。
俺は改めて実感した。
去年の俺がそうだったように、
今の俺も一年後、
俺がどんなふうに過ごしているかなんて
想像することもできなかった。
そんなことを考えているときに、
一輝がいつになく、
しんみりと言った。
「こんなこと言うのは
まだ早いのかもしれないけど、
もう一年もしたら
俺たちみんなばらばらになって、
こうやって毎日
会うこともできなくなるんだよな。」
俺もそう感じるときは
何度もあったけれど、
一輝のその一言で
改めて実感させられた。
「そうだな……。
高校入ってからの二年間なんて
あっという間だったし、
この一年も忙しい忙しいって
言ってる間に終わっちまいそうだな。」
俺は指先でペンを
くるくると回しながら
教室をぼんやりと眺めた。