消える前に……
体育祭が終わり、
次の日からは
通常通りの毎日に戻った。
一輝はまだ
引きずっているみたいだが、
俺たちの胸には
良い思い出として残った。
それぞれ感じたことは
違うかもしれないが、
それぞれに何かを
手に入れたはずだ。
俺はそう確信していた。
俺もきっと何かを手に入れた。
そう思えた。
帰りの会の時に
井上先生が俺たちに
プリントを配り始めた。
「プリントを見てわかるように、
第二回の進路希望調査を行う。
もう、一度行っているからわかる様に、
辛いことを言われた人もいる。
その悔しさを糧にして
頑張ってきたと思う。
進路は決して軽い問題ではないが、
頑張っていってもらいたいと思う。
進路希望の面談は
来週の月曜日からだ。以上-」
井上先生はそう説明して、
教室を出て行った。