消える前に……


みんな心配そうな顔をして、

未紀を見つめていた。


その時、

朋樹が未紀の後ろに回り、

未紀を後ろから抱き締めた。


力強く抱きしめた朋樹の顔も

不安でいっぱいだった。


未紀の不安は朋樹が

一番わかっている。


だから、

朋樹も不安になるのだ。


朋樹は未紀を抱きしめながら、

震える声で未紀に言った。


「絶対大丈夫。
未紀はあれからずっと
頑張ってきたんだから。
前回のテストだって、
結果が表れてただろう?
だから大丈夫。俺を信じろ…」


朋樹の腕の中で未紀は

震えながら返事をした。


「うん…ありがとう……」


未紀は朋樹に勇気づけられ、

笑顔にはなっていたが、

頬には涙が伝っていた。


そんな中で、

俺は面談に行き、

井上先生と将来のことを話した。


俺は大学進学や就職希望ではないから、

あまり緊張はなかったが、

それでも将来への不安は

人一倍大きかった。



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