消える前に……
一輝が車を運転している姿は
初めて見たから、
すごく不思議な感じがした。
玄関の前に
立っていた綾が、
車のドアを開け
声をかけた。
「行こっか?」
「うん!」
俺は元気良く綾に
返事をすると、
車に乗り込んだ。
車の中には
もうみんながいた。
助手席から奈央が、
後ろ側から朋樹と未紀が
俺に声をかけてきた。
「気合入ってんね~。
旅行すごい楽しみにしてた
って感じだね!」
そう言って俺は笑われた。
これで笑われるんだ。
昨日のことなんか……
絶対に言えない!