消える前に……
俺も綾の浴衣姿に
見とれてしまい、
顔が真っ赤になってしまった。
それが恥ずかしくて、
俺は綾の手をつないで
前を向いていた。
俺が何も言わなかったからか、
綾は歩く足を止め、
俺の顔をこちらに向けた。
「顔、真っ赤…。」
綾の言葉に俺の顔は
もっと真っ赤になっていく。
「仕方ないじゃん!
綾の浴衣姿……その…。」
いつもは可愛い可愛いと
普通に言えるのに、
照れているからか、
なかなか言葉になってくれなかった。
「その…何?」
綾は俺の言葉の続きを促す。
たぶん綾は俺が言おうと
していることが分かっていて、
からかっているのだと思う。