消える前に……
そう思いながらも、
俺は綾の思う壺で、
顔を真っ赤にしていた。
「可愛すぎるから!」
俺はそう言って
真っ赤な顔のままで、
綾を見つめた。
綾は満面の笑みで
とても喜んでいた。
「じゃ、行こうか?」
俺が手を差し出すと、
綾は俺の手を握り
俺に向かって
もう一度ほほ笑んだ。
俺たちは電車に乗って、
祭りの行われている
大きな神社に向かった。
神社までの距離は
さほど遠くなく、
数分でつくことができた。
駅から出て、
神社へ向かうまでの道には
たくさんの屋台があり、
金魚すくいだったり、
たこ焼き屋だったりと、
楽しそうなものばかりだった。