消える前に……
「綾も眠れないの?」
俺は綾に話しかけた。
小さく話したつもりだったけれど、
静かな海では、
少し大きく聞こえた。
「そんな感じかな。
眼覚めた時に、
修君がいなかったから
びっくりしちゃったよ。」
そう言って、
俺に微笑んでいた。
「ごめん、心配掛けて。」
俺はそう言って謝りながらも、
内心すごく嬉しかった。
俺のことをいつも考えてくれ、
思ってくれる綾……
そう考えるだけで
嬉しくてうれしくて
俺は心が温かくなった。
「旅行楽しかったなぁ。
でも、明日の今頃には
もう普段の生活に戻ってるんだよね。」
「そうだね、
でも私は普段の生活も好きだよ。
修君やみんなが
一緒にいてくれるから。」