消える前に……


俺の腕の中に

綾のぬくもりが感じられる。


俺の腕の中には綾がいる。


俺はそれだけで、

すごく安心した。


そして、

すこしづつ……


すこしづつ……


俺の心に生まれた不安は

消えていった。


綾を離し、

俺は綾の顔を見つめた。


「綾…好きだ…。」


俺は自分で言った言葉に

驚いた。


何で今その言葉を言ったのだろう?


考える前に、

俺の口はそう言っていた。


綾は少しさびしげな笑顔をして


「私も」


そう言った。


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