消える前に……
途中でお店に寄ったりもしたけど、
旅行も終わりに近づき、
車で帰るだけとなった。
「もうすぐ終わっちゃうね…旅行も…。
夏も……。」
未紀は思い出をいっぱい作って、
満足したようにそう言った。
未紀の言葉に少しだけ、
さびしくなったけれど、
俺にもたくさんの思い出がある。
すごく大切で、
俺にとって本当に
大きな存在の思い出が。
これからもずっと
こういう関係が続いたらいいな。
みんながいて、
みんなでふざけ合って、
みんな仲良くて。
そして俺の手は
綾の手とつながっていて、
愛し合えていたら良いな。
俺は朋樹や一輝、
それに綾や未紀や奈央を
見ながらそう思った。