消える前に……
そして、
二人が病室を去ってから
俺は病室の天井を眺めた。
天井は前も今も
ずっと変わることなく、
清潔感のある『白』のままで
広がっていた。
最近は、
天井の白を嫌だとか
そう思うことも
なくなっていった。
病室の天井の白も、
ノートのページの白も、
俺が大好きだった
空に浮かぶ雲の白も
俺には同じ『白』としか
思うことが
できなくなってしまった。
そんなことにも
『俺』は気づくことなく、
毎日いろんな『白』を眺めて、
何も思うことなく、
日々を過ごしていく。