消える前に……


俺は混乱した頭の中の

疑問をひとつづつ

整理していくかのように、

四人に質問をした。


「俺は誰なんだ?
それに君たちは誰…?
そして、あの人は誰…?」


でも、

四人は黙ったまま

俺にその答えを

教えようとはしてくれなかった。


そして日が暮れる頃に、

四人は病室を去っていって、

俺はひとり

病室に残された。


「本当に何なんだろう…?」


小さくつぶやいた言葉は

静かに消えていき、

理由もわからない、

行き場のない悩みは

解決することなく、

俺の頭の中を漂っていた。






本当に何なんだろう…?




「俺は…あの人は…。」


俺がそうつぶやく頃には、

空に大きな月が昇っていた。


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