消える前に……
綾という人を見ると、
とても悲しくなるんだ。
心の中が熱くなって、
だけど何も思い出せなくて……。
「私、いつまででも待ってる……。」
綾という人は言葉を続けた。
「修君が傍にいてくれたから、
今まで頑張ってこれたんだもん。
修君は今、
一人で頑張ってるんだよね……。
私、何もしてあげられないけど、
でも傍にいる。
ずっと、ずっと……。」
その声は誰かに話しかけるような、
そう言う話し方ではなく、
心の中の言葉を口にしているような、
そんな話し方だった。
「修君……」
綾という人は、
最後に俺の名前を呼び、
言葉を止めた。
しばらくしてから、
綾はベットの近くの椅子に座ったまま、
ベットにうつぶせるように
座ったまま眠ってしまった。