消える前に……


そういえば、

親の笑顔を見るのは

どれくらいぶりだろう……?


親は俺に

笑顔を向けることもあったけれど、

心からの満面の笑み

という感じではなく、

俺が病気になってしまったことを

申し訳なく思うような

そんな笑みだった。


だから、

親の久しぶりの笑顔を見れて

俺も嬉しくなった。


病室に広がった俺の荷物を整理し、

俺たちは病院を出た。


駅まで一緒に歩いていき、

そこで別れて

家に向かった。


家に入ると、

翼と兄貴が玄関で出迎えてくれた。


「お帰り」


二人は俺にそう言ってから、

リビングに戻って行った。


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