消える前に……


黒板に大きく書かれた文字。


『退院おめでとう!』


俺は嬉しくなって、

笑顔で言った。


「ありがとう!!」


俺は不安でいっぱいな気持ちを

必死に抑え込んで、

歓迎してくれたクラスメートの顔を

ひとりづつ見ていった。


でも、

結果は残酷なものだった……。


ひとりも覚えている人が

いなかったのだった。


そして、

久々に授業などを受けて、

楽しい一日をすごした。


だけど結局俺は

家族以外の人を

誰も思い出すことができなかった。


それでも俺は、

もう一度頑張ろう

そう思うことができるようになった。


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