消える前に……
嫌なことや、
辛いことも全部
取り除いてあげたい。
俺の心の中で
どんどん膨らむ
その想いを、
抱きしめる腕の力に変えて、
精一杯の力で
綾を抱きしめた。
だけど、
俺の腕も
綾と同じように
震えていたんだ。
膨らむ想いと、
それにこたえられない
自分の差が
悔しくて……
そんな自分が
情けなくて……
それでも俺は、
思わずにはいられなかった。
俺はこの人を大切にしたい。
俺は何よりも強く、
そう思った。