消える前に……
今と同じ気持ちで
綾を抱きしめてあげることが
できるだろうか……。
俺には全然、
自信がなかった……。
だから綾のその言葉に
答えてあげらることが
できなかった……。
俺って本当に最低だな……。
そう思わずには
いられなかった…。
その日の夜、
綾が落ち着いて、
普通に話せるようになった頃に、
俺は綾の家を出た。
俺は家に着いた後も
綾のことが気になって、
全然眠れなかった。
布団にもぐって
目を閉じると、
涙でぬれた綾の顔が
瞼の裏に浮かんだ。