消える前に……
俺はそんな不安を抱えながら、
椅子に腰をかけ、
鞄から教科書を出した。
いつもと同じように、
平然を装おうとした。
ただでさえ、
みんなにはいっぱい
心配をかけているのに、
これ以上
心配をかけたくなかったから。
教科書をパラパラと
めくりながら、
俺は未紀と一輝に聞いた。
「綾はまだ来てないの?」
心配事なんてない、
ただ聞いただけ、
そう装って聞いた。
「まだみたいだよ、珍しいね。」
未紀がそう応えた。
ガラガラ-
そんな時に
教室の扉が開く音がして、
俺はその音の方へ
振り返った。
そこにいたのは……