消える前に……


でも

その時俺は

今はつけるべきじゃない。


そう思った。


ちゃんと綾に話して、

それから指輪をつけよう。


俺と綾にとって

本当に大切な誓いだから、

こんな中途半端な気持ちで

つけたりしちゃだめだ。


そう思って俺は、

指輪をポケットにしまった。


ポケットにしまってから

一度だけ目を閉じ

深呼吸をした。


そして、

自分の心に誓った。


『もう二度とこの誓いを忘れない』


俺の意志で何かが

変わるわけもないけれど

それでも俺は

心に堅く誓った。


そして俺は、

もう一度部屋を出た。


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