消える前に……


俺が綾のことを

思い出したことを、

喜んでくれると

思っていた。


だから、

その予想外の言葉に、

俺は何も言えず、

立ち尽くしていた。


「修君が最低だって
思ってるなら最低だよ?
だけどね、
私は最高だって
思ってるから!!
いままでも、
これからも!!」


綾が続けた言葉が

本当にうれしくて、

俺はまた何も言えず、

立ち尽くしていた。


「初めて二人の違うところ見つけたね。
今まで全部一緒だったのに。
良いなぁ~こういうのって。
お互いのいろんな所を知って、
お互いのいろんな面を
知るのって良いなぁ!!」


綾はそう続けて、

俺に満面の笑みを

向けてくれた。


作り笑いなんかじゃなくて、

今までみたいな

悲しさの混じった

笑顔なんかじゃなくて、

心からの笑顔を。



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