消える前に……


そう言って綾は

俺の左手を優しく包んだ。


そして震える手で

俺の左手の薬指に

指輪をはめた。



もう離れない……



もう二度と忘れない……。



俺は精一杯の気持ちで

心に堅く誓った……。



「…修……君………。」


俺の手に指輪をはめ終え、

綾の手が離れた時に

小さく綾の声が聞こえた。


俺は綾を抱きしめた。


「綾!本当にごめんな…。
本当にごめんな!」


俺の腕の中で

綾が小さく震えていることが

伝わってきた。


こんなかよわい体に、

こんなかよわい心に

俺はどれだけの傷をつけたんだ…?


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