消える前に……

そう自分に問いかけたら、

数えきれないくらいのことが

浮かんできた。


「もう良いってば…」


そう言って

綾は顔をあげた。


「修君はちゃんと思い出してくれた。
ちゃんと私のこと、
前と同じ様に抱きしめてくれた。
だから私はそれで満足。」


「これからは大切にするから！」


俺はこれから笑っていられるように、

精一杯の笑顔を作って

綾にそう言った。


俺がそうすれば

綾は笑ってくれるから。


こうやって笑い合える日々が

ずっと続いたらいい。


特別なことなんか

なくたって良い。


ただ、

こうやって笑い合える日々が

ずっと続いたなら、

それで良い。




今夜の月はいつもより

少しだけ明るく見えた。



周りの星も少しだけ……。