消える前に……
一輝の家に行くと、
緊張した様子の
一輝と奈央がいて、
本当にこの日が来たんだな、
と改めて実感した。
俺たちは6人みんなで
二人の受験会場まで行き、
校門の前で
勇気づけてあげた。
「一輝と奈央なら大丈夫だって!
今まであれだけ頑張ってきたんだし!」
俺がそう言って笑顔で
一輝の肩を叩いても、
一輝の顔はこわばったままで
緩むことはなかった。
朋樹が小さな声で
「一輝にも緊張とかあるんだな……」
そう言うと、
一輝はいつもの顔に戻って、
朋樹に言い返していた。
「俺だって緊張くらいするし!
青西の受験の時だって
どれだけ緊張したことか!」
そう言い返す一輝を見て、
奈央の緊張も少しづつほぐれ、
一安心した。