消える前に……
「どのような内容でも
息子さんにも話してもよろしい
ということでしたが、
大丈夫ですね?」
医師は真剣な表情で
両親に尋ねた。
両親が黙ったまま頷くと、
医師は俺の方を向いて
話し始めた。
「世界で君と同じ病気の患者が現れ、
研究の末に新しい発見がされたんだ。
現実だなんて冷たい言い方にも
聞こえてしまうかもしれない。
ショックなことかもしれないが、
現実を受け止めてほしいんだ。」
医師は話を続けていくが、
俺の頭はその言葉を
理解しようとしなかった。
受け入れたくない事実だった。
それは俺がたった一つだけ
安心していること。
そのたった一つの安心も
打ち砕く現実だった。
「発見から約2年で急激に肉体的に進行し、死に至る。」
俺の目の前が
真っ暗になった。