消える前に……
疲れていたから?
少し違う。
話題が見つからなかったから?
そんな感じなのかもしれない。
お互い、
何を話せばいいのか
分からなかった。
話したいことは
たくさんあるのに、
話せない。
どれから話せば良いか
分からなかった。
俺の家に着くと、
秀兄がリビングにいた。
「ただいま」
俺が言うと秀兄は
「お帰り。綾さん、いらっしゃい。」
優しく微笑んで言った。
「お邪魔します。」
綾は行儀よく頭を下げた。