消える前に……
俺が病気じゃなかったら、
数年後には
手に入っていたかもしれない未来。
遠くない未来にあるそれも、
俺には…
絶対に手に入らない物だった。
こうやって
想像することしかできない。
絶対に手に入らない、
俺の手に入れられなかった光景。
一番手に入れたかった光景。
二人でずっと
一緒に過ごしたかった。
結婚して二人で暮して、
数年後には子供が生まれて
俺と綾は親になって。
それから十数年したら
子供たちは
俺たちのもとから離れて行って。
それからまた二人で暮して。