消える前に……
「今日はこれで終わり。
各自、解散」
そう言うと、
井上は教室から出ていった。
それと同時に、
会話を始めたりする生徒もいれば、
荷物を持って帰っていく生徒もいた。
どんっ。
「痛っ!」
俺は振り向いた瞬間に、
後ろの席の人とぶつかった。
「悪ぃ!」
その人は、
謝りながら俺に手を差し出してきた。
俺は、
その人の手を借りて起き上がった。
背が高くて、
短めの黒髪。
かっこいいなぁ………。
そんなふうに思いながら、
その人を見ていた。
「ん?どうした?
怪我でもした?
保健室一緒に行くか?」