消える前に……


振り返らなかった……。



まっすぐ道を歩き、

角を曲がったところで

俺は動かす足を止めた。


「ちくしょ……。」


俺の足は震えだし、

膝に力が入らなくなった。


膝を地面につき

握りしめた拳を

地面に下ろした。


「ちく…しょう……。」


俯いた俺の目からは

涙が止まらなかった。


止めどなく、

涙は流れつづけ、

悔しさは募っていった。


「ちくしょお……!」


俺はその場から

動けなかった。



逃げたくなった…。



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