消える前に……


泣きながら

必死に話す一輝の声が

聞こえた。


「俺なんか……
俺なんか、
全然ダメな男なのに……。」


「だめじゃない!!」


俺が言うと

一輝はすぐに

言い返してきた。


俺は朋樹や一輝が言うほど

立派な人間じゃない。



そんなにできた人間じゃない。


「優柔不断だし!」


俺が言うと

一輝がもう一度言った。


「全部、全部ひっくるめて
修に憧れてるんだよ……。
それに修は優柔不断何かじゃない。
一人の女性を全力で愛すこと、
教えてくれたのは
紛れもなく修だよ……。
今の俺がいるのは、
全部修のおかげなんだよ……。
修がいなかったら俺……。」


一人の女性を全力で愛する…。


一輝の言葉に

俺は溢れ出る涙が

一気に増えた。




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