消える前に……
職員室の扉を
開けようとしたときに、
俺は振り向いて
井上先生に言った。
「嬉しい時は素直になれよ!!
素直じゃないのも
井上先生らしいけど、
やっぱり気持ちに正直な方が
絶対、良いって!!」
俺がこの病気から
学んだこと。
親友たちや、
綾から学んだこと。
俺はその大切なことを、
井上先生に言った。
「そっか。気をつけるよ。」
井上先生が微笑んで
俺にそう言ってきた。
「じゃぁ…。」
俺は何か
言おうとしたけど、
何を言おうとしたのか忘れて、
もう一回
「じゃあな、井上先生!!」
そう言って
職員室を出て行った。