消える前に……


職員室の扉を

開けようとしたときに、

俺は振り向いて

井上先生に言った。


「嬉しい時は素直になれよ!!
素直じゃないのも
井上先生らしいけど、
やっぱり気持ちに正直な方が
絶対、良いって!!」


俺がこの病気から

学んだこと。


親友たちや、

綾から学んだこと。


俺はその大切なことを、

井上先生に言った。


「そっか。気をつけるよ。」


井上先生が微笑んで

俺にそう言ってきた。


「じゃぁ…。」


俺は何か

言おうとしたけど、

何を言おうとしたのか忘れて、

もう一回


「じゃあな、井上先生!!」


そう言って

職員室を出て行った。



< 432 / 503 >

この作品をシェア

pagetop