消える前に……


綾に言わなきゃいけないことがある。


それを言ったら……。


そんなことを

さっきからずっと考えて、

少しづつ顔も

暗くなっていったのだった。


公園に入ると、

小さな遊具と、

小さなベンチが一つあった。


俺はベンチに座って、

綾を隣に座らせた。


隣に座る綾は、

空の星を見ていた。


いつもより、

きれいに光る星たちが

そこには見えた。


言おう。



言おう…。



心の中でそう

繰り返しているのに、

言い出せずにいる

俺がいた。



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