消える前に……
「俺、温かい飲み物でも
買ってくるよ!!
公園の入口の所に
自動販売機あったし。」
俺がそう言って
立ち上がった時、
綾が俺の制服の端をつかんだ。
「どうしたの、綾?」
俺は振り向いて、
綾に聞いた。
「大丈夫。
だから一緒に座ってようよ?」
綾が少しうつむいて
そう言っていた。
その姿を見て、
俺の胸が締め付けられた。
心がぐっとつぶされるような、
そんな感覚がした。
心は正直だった。
目頭が熱くなってくる。
体も正直で。
でも俺の状況を
全部理解してる頭だけが、
正直になれずに
もがいていた。