消える前に……


「え……。」


俺はどうすることもできずに

立ち尽くしていた。


ベンチにもう一度

座ることなんてできない。



もし

もう一度座ったら、

二度と言う機会を

なくしてしまう。




俺は決めた。



そして-




「別れよう。」



小さな声で。


だけど、

風の音に

かき消されないように

しっかりと。




「…修…くん……?」


綾が顔をあげて、

俺のほうを見た。



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