消える前に……
「俺、外国行くことに
なっちゃっただろ?
だからさ、別れよう。」
「……。」
綾は何も言わずに
俺のほうを見つめていた。
「私、修君と一緒にいたい……。
どこにも行かないで……。」
綾の声が少しづつ
震えていくのがわかる。
俺に泣き顔を
見せないように、
綾は俯いて
俺に言ってきた。
その綾の姿を見て、
俺は思い出した。
あの夢……。
あの夢と同じだ。
あの時の綾の言葉、
俺はやっとわかった。
それがわかると、
次に言われる言葉を
思い出してしまった。