消える前に……


「もう、夜遅いし送るよ。」


俺はそう言って、

歩きだした。


冷たく、

ひどく振舞う俺。


そんな自分が悲しかった。


公園を出た所にあった鏡越しに、

俺の少し後ろを

歩いてついてくる綾が見えた。


ここまで来るときも

会話はなかった。


だけど、

今とは全然違った。



あの時は二人で歩けるのを

嬉しく感じられた。




だけど、今は……。




後ろで、

綾のすすり泣くのが聞こえる。


俺は必死に

感情を押し殺して、

振り向くこともなく

歩き続けた。



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