消える前に……
◇手紙と言葉
俯いた顔をあげれなかった。
帰り道も。
家に着いてからも。
家の扉を開けた時に、
家族の声が聞こえた。
「おかえり。」
返事する気力なんて、
少しも湧いてこなかった。
俺は自分の部屋に向かった。
部屋の扉を閉じて、
ベットの上に倒れこんだ。
枕に顔を押しあてて、
ただ黙って泣いた……。
「修兄、ごはん食べないの?」
部屋の扉越しに
翼の声が聞こえた。
返事、
できなかった…。