消える前に……
◇一冊の本
休日は友達と遊ばなかった。
と言うより、
遊べなかった。
大量の宿題を出され、
遊ぶ暇などなかった。
今まで本当に嫌で嫌で
しょうがなかった宿題も、
今はあまり苦にならなかった。
やることがなければ、
先のことを考えてしまったりしてしまう。
俺は、
今を楽しむんだ。
未来のこととか考えて、
今が楽しめなくなるくらいなら
考えないようにしよう。
そう思ったんだ。
月曜日の朝、
俺は疲れ切った体を起こし
洗面所へと向かった。
「あぁ……
目の下くまできてるし…」
あまり寝れなかったこともあり、
体がだるかった。
俺は、顔を洗い
朝食を食べるためにリビングに向かった。
リビングではもう、
弟の翼が朝食を食べていた。